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テストの点数よりも大切なEQとは?心の知能指数は学びのメタスキル

テストの点数よりも大切なEQとは?心の知能指数は学びのメタスキル

EQ こころの知能指数
『EQ こころの知能指数』指数

この記事のまとめ

「心」が大事。

EQは「こころ」

EQは、自分と他人の情動とつきあう能力です。「うまく」付き合っていればEQが高いといえます。EQはIQと違い、「その子にとって最適な能力」が備われば事足ります。

扁桃核と前頭葉のバランス、適切な情動の処理を行う脳のはたきを「情動知性」といい、これを便宜的にEQと略して表します。

IQはペーパーテストで高得点をとる能力です。

EQは感情に渦巻いた人間社会を上手に生きる能力です。

EQが高いと、例えば次のような能力をもっている、ということができます。(知性の多重性理論とは、ペーパーテスト上のIQ一辺倒でなく、人間として生きるための能力、ペーパーテストでない能力もいろいろあるんだよという考え方です)

知性の多重性について、ガードナーは自説をさらに発展させようとしている。知性の多重性理 論を発表してから十年後、ガードナーは「人格的知性」について次のように要約している。

「対人知性」とは、他人を理解する能力をいう。この人の動機は何か、あの人はどう動くだ ろうか、皆と協調して動くにはどうすればいいか、といったことを理解する能力だ。セール スマン、政治家、教師、臨床医、宗教家などとして成功している人は、だいたい対人知性に 優れている。「心内知性」は対人知性と対をなすもので、自分自身の内面に向けられる知性をいう。心内知性は現実に則した正確な自己モデルを形成し、そのモデルを利用してかしこ く生きる能力だ。

ガードナーは、対人知性の本質は「他人の気分、気質、動機、欲求を識別し、それに適切に対 応する能力」であるとも述べている。また、自分自身を知るカギとなる心内知性には、「自分の中にある感情を把握し、弁別し、行動指針とする能力」も含まれると述べている。(『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.68)

「心内知性」はソクラテスの「汝自身を知れ」ですね。速度の速い扁桃核の反応を自分自身が「あ、こんな反応してる。こんな気持ちになっている」ことを即座に認識しつつ「ではどうするか」をクールダウンしながら適切に考え行動する知性です。

EQは「自己」による「自己」のためのフィードバックといってもいいでしょう。

 

EQは「しあわせのもと」

EQは「こころのお守り」です。サロヴェイという人がEQの定義を考え、5つの領域にまとめました。

1:自分自身の情動を知る。

2:感情を制御する

3:自分をどう気づける

4:他人の感情を認識する

5:人間関係をうまく処理する

ガードナーの「対人知性」と「内心知性」の項目を細分化したのですね。

著書 The Bell Curve でIQの有意性を高く評価しているリチャード・ヘルンシュタインとチ ャールズ・ミューレイも、この点を認めて次のように発言している。「大学進学適性試験の数学 で五百点しか取れなかった学生は、将来数学者になろうと思わないほうがいいかもしれない。でも、自分で事業を始めたいとか、上院議員になりたいとか、百万ドルもうけたいという夢だった ら、あきらめる必要はない。試験の成績なんて、その他もろもろの才能が生かせるかどうかに比 べたらちっぽけなものだ」。 ・その他もろもろの才能が生かせるかどうか――これがつまり、「こころの知能指数」(EQ) だ。

こころの知能指数とは、自分自身を動機づけ、挫折してもしぶとくがんばれる能力のこと だ。衝動をコントロールし、快楽をがまんできる能力のことだ。自分の気分をうまく整え、感情 の乱れに思考力を阻害されない能力のことだ。他人に共感でき、希望を維持できる能力のことだ。過去百年近くにわたって多数の学者が研究してきたIQとちがって、EQは新奇なコンセプ トだ。人生を生きるあいだに生じてくる個人格差のうちEQに起因するものがどれくらいあるの か、はっきりとした数字はまだわからない。しかし現在あるデータをもとに推測するかぎり、E QはIQと同等あるいはそれ以上の影響力をもっていると思われる。IQについては経験や教育 の力で大きく変えることは不可能だという説があるが、EQについては重要な部分は子供のうち に教えれば向上させることが可能だ。 (『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.61)

EQが低いと生きにくい

EQを担当する脳の前頭前野という部分を切除する手術を受けた人の物語です。極端な例ですが、前頭前野の発達の大切さ、前頭前野の発達を阻害するストレスの重さを感じます。

つぎに、この大学生とは正反対の女性を紹介しよう。この人は気に入っていたペンをなくした だけで何日も取り乱してすごした。またあるときは、高級婦人靴のビッグ・セールの広告を見たとたんに興奮してしまって、その場で仕事を中止して車にとびのり、シカゴの店まで三時間も車ていった。むだな投資をして貯金も使いはたし、いまは兄の家に置いてもらう身だ。 エリオットの問題には、奇妙なパターンが認められた。知能の面では以前と変わりなく優秀な のに、どうでもいいことに拘泥して時間をむだにしてしまうのだ。

どうやら、ものごとの優先順 位という概念がすっかり消失してしまったようだった。非難も叱責も効果がなく、エリオットは 勤めるたびに法律事務所を解雇された。詳細な知能検査をしても何も問題は見つからなかった が、エリオットは神経科医のもとを訪れることにした。神経的な問題があるとわかれば障害者に 認定してもらえると考えたからだ。こんなにひどい状況に陥っているのに仮病と思われるのは理 屈に合わないと思った。

「エリオットを診察した神経科医のアントニオ・ダマシオは、エリオットの精神活動のなかでひ とつの分野がすっぽり抜け落ちていることを発見してショックを受けた。論理、記憶、注意力な ぬ ど認知能力には一切問題がないのに、エリオットは自分の運命についてほとんど何の感情も抱く ことができないのだ。何よりショッキングだったのは、エリオットが自分の身にふりかかった悲 劇について、まるで他人事のようにひとかけらの感情もまじえず語ってみせたことだった。残念 な様子も、悲しそうな様子も、不公平な運命に怒っている様子もなく。自分自身の悲劇なのに、 エリオットは何の苦痛も感じていないらしい。話を聞いているダマシオのほうが心を痛めたくら いだった。

エリオットが自分の感情を認識できなくなったのは腫瘍と一緒に前頭前野を部分切除したこと が原因だろう、とダマシオ医師は考えた。事実、手術では情動をつかさどる脳の下部構造(とく に扁桃核とそれに関連する神経回路)と思考をつかさどる大脳新皮質との連絡を切断していた。

その結果、エリオットの脳はコンピューターのように演算を重ねて結論を出すことはできても、 さまざまな選択肢に価値判断を下すことができなくなってしまった。すべての選択肢が、エリオ ットにとっては可もなく不可もないのだ。ダマシオ医師は、価値判断の過程からあらゆる感情が 欠落してしまったことがエリオットの問題の核心であると気づいた。対象について自分がどう感 じているのかわからないために、エリオットの判断は欠陥だらけになってしまったのだ。

この障害は、ごく日常的な判断を下す際にも現われた。ダマシオが次回の診察日時を相談する と、エリオットは混乱してしまって決めることができない。ダマシオ医師が「この日はどうです か?」と尋ねるたびに、エリオットは都合のいい理由と都合の悪い理由を並べたて、結局どれに も決められない。論理のレベルではどの理由も筋が通っているが、ひとつひとつの選択肢につい て自分自身どう感じているのかがエリオットにはわからない。自分の感情を認識できないので、どれかひとつを選ぶことができないのだ。(『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.87)

小学校が節目:心の知能指数は「学び」のメタスキル

EQ こころの知能指数
『EQ こころの知能指数』

この記事のまとめ

テキストが選択されてませんでした

生後三ないし四歳までの時期に、脳は新生児のサイズから大人の約三分の二のサイズにまで成 長し、内容的にも一生でいちばん急速に発達する。この時期、人間は大切なことを一生で最も多 く学習し吸収する。なかでも情動の学習は筆頭格だ。この時期に強いストレスを受けると脳の学 習機能の中心が損傷を受け、知能に障害が残る可能性がある。

これは成長後の経験によってある 程度まで回復することもできるが、人生が始まってまもない時期に経験した学習のインパクトは 甚大だ。左に紹介する研究報告がまとめているように、人生の最初の四年間に学習する情動は、 その人の一生に重大な影響をおよぼす。

注意を集中できない子、人を信頼せず疑ってかかる子、悲しみや怒りにとらわれていて楽天 的になれない子、ルールをわきまえず破壊的な子、不安に押しつぶされている子、恐ろしい 空想にとらわれている子、いつも自分自身に不満な子――こういう子供たちは世の中に満ち ている可能性を他の子供たちと同じように手にするどころか、可能性に手をのばすことさえ できないだろう。(『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.298)

メタスキル とは?

メタスキルは簡単に言えば「スキルを獲得するスキル」のことです。

小学校で「学ぶ」ために必要なスキルが7つ列挙されています。

「子供が就学に適する段階に達しているかどうかは、あらゆる知識のなかで最も基本的な知識、 すなわち「学習のしかた」が身についているか否かによる。幼児教育センターの報告は、この大 切な能力を七つの要素に分けて列挙している。どれもEQに関連する能力だ。

(一)自信

自分の身体、行動、および周囲の世界を思うようにコントロールできるという感 覚。自分はきっとうまくできるだろう、大人たちも力になってくれるだろう、という感覚

 

(二)好奇心

何かについて知ることは良いことであり、楽しみにつながる、という感覚。

 

(三)計画性

周囲にインパクトを与えたいと願い、そのために粘り強く努力し、そして実際 にインパクトを与える能力。自分の能力に対する自信にも関係する。

 

(四)自制心

年齢相応の方法で自分の行動を調整しコントロールする能力。自分の内面をコ ントロールする能力。

 

(五)仲間意識

自分は他人を理解し他人も自分を理解しているという意識にもとづいて周囲 とかかわっていく能力

 

(六)意思疎通能力

言語によって他人と思考や感情や概念を交流したいという願望および能力。他人に対する信頼感や大人を含む周囲の人間とのかかわりを快と受けとめる感覚と関係する。

 

(七)協調性

集団行動において自分の欲求と他人の欲求のバランスをとる能力。

 

入学時に子供にこれらの能力が備わっているかどうかは、両親――および幼稚園の教師――が 家 「ハート・スタート」(「ヘッド・スタート」計画の情緒版)とも呼ぶべきケアを子供にどれだけ与えるかにかかっている。(『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.294)

ライフスキル?

WHOが発表したライフ・スキルは「日常的に起こる様々な問題や要求に対して、より建設的かつ効果的に対処するためのスキル」と言われて居ます。

①意志スキル ②問題解決スキル ③創造的思考 ④批判的思考 ⑤コミュニケーションスキル ⑥対人関係スキル ⑦自己認知 ⑧共感的理解 ⑨情動に対処するスキル ⑩ストレスに対処するスキル

 

情動教育の項目

情動の自己認識

◎自分の感情を認識し名称を与えることができる。

◎感情の原因をよく理解できる。

©感情と行動のちがいを認識できる。

 

情動の管理

◎欲求の挫折を受けいれ、怒りをコントロールできる。

◎口論、殴り合い、授業妨害が少なくなる。

◎怒りを腕力に訴えることなく適切に表現できる。

◎停学や退学処分が減る。

◎攻撃的・自滅的行動が減る。

◎自分自身や学校や家庭を肯定的に受けとめる。

◎ストレスを適切に処理できる。

◎淋しさや社会的不安感が減る。

 

情動の建設的活用

◎責任感が向上する。

◎眼前の課題に集中できる。

◎衝動が減り、自制心が働く。

◎学力テストの成績が上がる。

 

共感情動の読みとり

◎他人の立場に立って見ることができる。

◎他人の感情を敏感に受けとめ共鳴できる。

◎他人の話をよく聞ける。

 

人間関係の処理

◎人間関係を分析し理解できる。

◎紛争を解決し意見の相違をまとめられる。

◎人間関係のトラブルを解決できる。

◎自分の意見をはっきりと効果的に主張できる。

◎他人に好かれ、社交性がある。友だちと仲良くできる。

◎友だちに人気がある。

◎思いやりがあり思慮深い。

◎社会に対して肯定的でグループの和を乱さない。

◎他人と共有し、協力し、助け合える。

◎他人との接し方が民主的。

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