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【言語発達】0歳からのコミュニケーション・思春期まで

0歳からのコミュニケーション・思春期までの言語発達をみる

この記事のまとめ

0歳からの積み重ねが大切です。

0歳児:原初的コミュニケーション

ダンス

「お母さんがいつもは笑っているのに、不安そうな顔をすると僕は泣くかもしれない」

生後3ヶ月頃には、母親とのやりとりを通して、その母子に特有な相互交換のやりとりパターンも形成されてくる。もし相手が、そのパターンから期待(予測)される応答的な反応を示さない時には、赤ん坊から驚きや不安、ときには抗議の表情や発声がみられるようになる。生後5、6ヶ月にもなると、乳児の人への関わり方は、より能動的、選択的なものになってくる。相手からの応答を引き出すために働きかけたり、また相手とのやりとりを自ら止めるような行動を示すことさえ見られる。このような対人間でのやりとりのなかで、他者の行動に影響を及ぼしうる作因として、他者との関係の中でここに在る〈自己〉という感覚がもたらされる。(『〈わたし〉の発達ー乳児が語る〈わたし〉の世界』p.12)

みてみて

「周りにあるものを僕に教えてね。指さしして名前を教えて。近くで見せて、触らせて。お母さんは僕の世界の窓だよ」

5,6ヶ月頃には、母子のかかわりもより活発なものになってくる。そのようなやりとりのなかで、母親は乳児の注意や関心をじぶんに対してだけではなく、周りの環境に向けさせようと積極的に試みる。赤ん坊の目の前で物がどのように動くか見せたり、目の前の対象を指さし名付けながら、そのモノへの視覚的、触覚的な探索を促す。それは赤ん坊の注意を周りの事象に向けさせ、注意の共同(joint attention)を作り出そうとする促しである。そのような働きかけは乳児の成熟ともあいまって、8、9ヶ月頃に大きな発達的変化となって現れてくる。子供は次第に母親の視線の向かう所や指さす方向を追って、それを共有する。(『〈わたし〉の発達ー乳児が語る〈わたし〉の世界』p.14)

0歳児のコミュニケーション

妊娠7ヶ月

母親の声の何かを聞き取り、母親が繰り返し話すと胎児の心拍数がゆっくりになる。

新生児

ことばによる語りかけに対して、母語であっても外国語であっても、音節に同調したリズムで身体を動かす。母音だけの連続とか、物理的な打撃音へは動機動作は見られない。(相互同期性)

生後二日で母国語と外国語を聞かせると、母国語の時は吸啜反応が激しくなる。

生後三日の赤ちゃんでも母親の声を聞き分け、母親の声を聞こうとする。(『ジャストベイビー』p112)

泣いて、誰かが応答してくれないと、「もう無理や」とおもって泣かなくなる。泣いて、応答してくれると、「俄然、泣く気になる」(信号行動)。

1ヶ月〜3ヶ月

クーイング(鳩音きゅうおん)。授乳中、乳首を吸っていない時に揺さぶられないと「あー」とおか「くー」という声を出す。乳を吸っていない時、ゆさぶられることを期待する。感情的な声ではない。

生後4週間ごろからは、泣いている間にも周りを見回すようになり、なき終わった後も、視覚的な探索活動を行う。つまり泣いた後の世界の変化をみるようになる。(みずから、意図して泣いたわけではない)(『よくわかる情動発達』p.55)「あ、こいつは、使えるな」とか考えることができる。人間をよく観察している。

2ヶ月

母親の「高い音」に反応し、そのメロディーを音で真似ようとし始める。喃語が生まれてくる前から、模倣している。3ヶ月以降、この傾向が増加する。メロディーとしての響きが、メッセージ。

予測できることに対して、自ら反応する。(着替え)

3ヶ月

のどの形態が変化(ソレ以前は食べ物が吐気反射を起こさないように、鼻から吸うようにできている。また、母乳を吸うことだけに特化するために、口腔の体積は小さいから構音できない。)声をたてて「ハハハ」と笑えるようになる。大人が母音によく応答するため、赤ちゃんは母音を自発的に発する。「あー」「うー」。口で呼吸ができるようになる。

特定の人を好きになって、積極的に関わろうとします。

4ヶ月

音声遊び。赤ん坊は音程や音量をいろいろに変えて、きいきい声や叫び声やうなり声のような音を出し、声道のさまざまな箇所を使って独特の「ラズベリー」、有気気息音、鼻鳴らし音を出す。相手が音声を出している時よりも、相手が黙った時に自分が音声を発することを好み(つまり、初歩的な「話者交代」を行なっているわけである)、また他社の発する音を積極的に模倣し、だんだんと本当の会話をしているかの様子が強まってくる。(『子供は言語をどう獲得するか』p.25)

文章の区切り(意味のある塊)がどこにあるかわかる。(『子どもの遊びは魔法の授業』p.116)

自分の名前がわかる(自分の名前が耳に入ってきたら、注意深く聞くしくみができている。言葉を話す前から、言葉を学んでいる)

 

6ヶ月

母音以外の音が現れる。母音と子音を組み合わせた基準喃語。「パパパパ」「マンママ」何かを伝えるというより、発音の真似。指し示す言葉に意味はないが、発声する気持ちは受け止めて。
「ダダダ」「バババババ」というのは反復喃語。(早ければ4ヶ月から)

「タァタァ」という言葉を繰り返し聴くと、そのメロディーを覚え、状況から、それが何を指し示すかを割り当て、見る。

メロディーとしての響きが、メッセージ。同じ「タァタァ」でも上昇・下降・平坦でそれぞれ注意要求・抵抗譲渡・呼び掛け叙述といった機能をもつ。

何を伝えたいかによって、メロディーを使い分けている。というよりも、その感情が引き起こす身体状況と声が、統合されている。

生後二ヶ月くらいのときは、オカアサンが静止顔になってしまうと泣き出したり、目をそらしたりするという反応しかできなかった赤ちゃんは、この頃になると「オカアサン、どうしたの?わらってよ」と言わんばかりにお母さんの顔に触れたり、しきりにお母さんの気をひこうとしたりする行動を示し始めます。(『なるほど!赤ちゃん学』p26)

8ヶ月

5ヶ月のときは「いい行いをした人に親切な人」を好むが、8ヶ月では、「悪い行いをした人に意地悪な人」の方を好む。(『ジャスト・ベイビー』p106)

9ヶ月

6から8ヶ月まではあらゆる音が聞き分けられていたのが、母語で区別されない音の違いを無視しはじめる。この頃、共同注意ができるようになり、養育者との音のやりとりだけでなく、自分自身と養育者以外の何かを伝えようという意図で音を発するようになる。

乳児は何か目立つものがなくても、他者の視線を辿り、その先にある対象を探して特定しようとし始めます。また、目立った対象が見つけられないと、もう一度他者を振り返ってその視線を確かめたりもします。(幾何学的共同注意)

10ヶ月:指さしとジャルゴン

単語をつなげたようなイントネーション・抑揚がついた発声をする。
ジャルゴン。呼気をコントロールできるようになる。

8〜12ヶ月では音声的な豊かさのピーク。アメリカと日本の子供に差はない。(『言語発達の心理学』p.74)

同じ対象を見ていることに気がつく。指差し行動。自分の関心を表現する。一緒に見てくれることの心地よさ。
共同注視。経験を、別の人間として、共にする。指差しで伝える。

1歳

「ワンワン」「ウマウマ」「ネンネ」「イヤ」「ダメ」 「ボクノ!」「ワタシノ!」「ヒトリデ」コトバと身ぶりで気持ちを話すようになる。

「ホシイノ ホシイノ」「キレーキレー」一発話に同じ語を繰り返すようになる。

続いて「コレ ホシイノ」となる。「ブー ノンノ」乗りたいことをはなせるようになる。*

第一《ナニ》期 「コレ ナニ?」と聞けるようになる。物の名前を知りたい。*

3歳

第一《ドウシテ?》期*
いきなり、「どうして」というコトバを使い始める。「ドウシテ カッタノ?」意味もなく連発する。これは大人とのはなしを継続させたい欲求も含まれるだろう。「ドウシテ コレ ツケタノ」「どうしてもよ」と答えると「ヨク 考エテ イイナサイ」といつも親たちから言われている言い方で逆襲する。*

4歳

4歳になると従属接続しを支えるようになる。「・・・けど・・・した」因果の説明。

エピソード記憶を語るようになる。(自身の身に起こったものとして自ら早期しうる、特定の出来事に関する記憶)(『問いからはじめる発達心理学』p.92)。
「みてみて」から「きいてきいて」へ**

試行錯誤。言葉を使いまくる。「くつしたはくと、指と指がくっつくから、くつしたっていうの?」未知の言葉を使いながら、言葉を体験していく。

比喩や造語が多くなる。雨が降ってきて開いていた窓に吹き込んだ時。「あっ、雨のお客さん!」。「お母さんのおなかにいる前、あたしどこにいたの?」**

今までとは別の関わり、コトバをつかった関わりをしたい。

第二《ナニ》期 抽象的なことばの意味を知ろうとする。「ママ トクヨウ(徳用)ッテ ナニ」エレベーターのなかで「ツウカ(通過)ッテ ナニ」*

第二《ドウシテ?》期 「パパト ママ ナカヨシネ」「ドウシテ?」「パパトママ 愛シテルンデショ」「どうしてわかる?」「八千代 考エタノ」「八千代とママは?」「愛シテル」

第二期の質問は主として知識を得ようとする認識的質問である。質問の分野も、広がっている。
「ドウシテ 飛ベナイノ」「羽がないから」「ドウシテ 羽ガナイノ」「鳥じゃないから」「ドウシテ 鳥ジャナイノ」*

話す意図を母親がぱっと理解しないで、なんども「なに?」と聞くとおこる。また、「アレ アレ ナンダッタカナ 忘レチャッタ アレ アレ」と言うとき、この「あれ」の正体をすぐに見つけて答えてやらないと泣きそうな顔をしはじめる。自分ではわかっていてもまだ十分に説明できないし、そうかといって、早く相手が答えてくれないので、もどかしくいらいらするらしい。*

これまではささやき声がでなくて、内緒はなしなどできなかったが、小さい声ではなしなさいというと、こごえで話せる。*

親に対する不満も述べる。「ママダケ ドウシテ研究所ニ行クノ?」「ママ 研究所ヤメタラ?」*

音楽教室で習った悲しい曲は短調、楽しい曲は長調ということばを応用していう。「コノ話タンチョネ チョウチョウノヲシテヨ」*

5歳

2、3歳の子はいきなり自分が伝えたいことを話し始めるが、5、6歳になると「~知ってる?」というように話題のきっかけをつくってから話し始める。

抽象名詞をさかんに理解する。「先生、むちゅうっていうのは、いつまでも、いつまでもやってること?」「犬は、家族じゃないんだよ」

石仏をみて「先生、この人は、どんな悪いことして、石にされちゃったの?」

テレビで男の人が「人生劇場」を歌うのを聞いて……「じんせいって おわりのこと? なんだか さびしいかんじがする」**

脅迫時代「モウ ウチ帰ッテコナイカラネ」「オレサマガヒドイメニ合ウカラ ミトレ。」「ママナンカキライ ママキライデ イイデショ」*

母親としばらくぶりに遠出をする。帰途自分ひとりで乗っていることにしてくれといって母親のハンドバックをかかえて膝の上に乗せ、母親から離れた積にひとりすまして座る。大人のまねでもあるが、独立心も示したいらしい。大人の世界に子どもなりに入ろうとしているふうである。

母親からの電話の応待など聞いても大人と同じ口ぶりである。適応力がつき、社会的ことばの駆使がうまくなってきている。*

抽象的なことばを使う。「ママドウシテワカルノ。理由ヲ言ッテ。理由ナイノ?」とうるさく詮索したり、「フウフネ」と言うので母親が夫婦ってどういうことかと聞くと、「カゾク。」関連のあることばで答えたりする。「アトハミナ正確デス」というので「正確」とは何かと聞くと、「キレイニデキマシタッテコトナノ。」と具体的なものばかりでなく、抽象的なことばの意味を不十分ではあるが答えたりする。*

朝、着替えを中々しない。入学試験におっこちるよというと、「早クヤラナクテモイイジャナイ。ノロノロデモ。」といい、ついで節をつけていう。「ジャ ヤサシイ服着テ行コウカナ。ジャ シヤスイ服着テ行コウカナ。ポンポンポンテ ヌゲルカラ。」母親が遠くから、へやを片付けなさいというと、きこえていても、片付けるのがいやなもので、「ナニ言ッテルノカ サッパリワカンナイ。」と遊びにでかける。批評的な言辞としては、「オ姉チャンの心ノ中ガマダコドモナノネ」「パパッテヤーネ。髪ノ毛ノ入ッテイル オセンベイ 買ッテ」*

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