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自分も相手も尊重したい4歳・5歳の感情知性EQ【人間観察・嘘で慰める】

自分も相手も尊重したい4歳・5歳の感情知性EQ【人間観察・嘘で慰める】

この記事のまとめ

EQは「人間観察力」

EQは「仲間を増やすチカラ」

EQは「気持ちを切り替えるチカラ」

EQは人間関係にまつわるいろんな能力を表す言葉です。

いろいろあるのですが、一部だけ紹介します。

EQの別名「人間観察力」

「コミュ力高い」人の一つの側面だろうか。ジュディの例は、「観察」に長けたEQの一面を表している。ガードナーのいうところの「対人知性」だ。

何気なく見ている観察者には、積極的な子供たちが多いなかで、四歳のジュディが壁の花に見 えるかもしれない。遊び時間のあいだ、ジュディはゲームの輪の端に立って一歩引いて見てい る。しかしジュディは、幼稚園のクラスの人間関係をじつによく観察している。他の子供たちの 気持ちを推察する能力にかけては、ジュディはクラスで一番だろう。

ジュディの観察力が明らかになるのは、「ようちえんごっこ」の時間だ。先生は幼稚園の教室 を模したドールハウスと子供や先生の顔写真を貼りつけた小さな人形を用意して四歳児たちを呼 び集める。「ようちえんごっこ」は社会的知性の成熟度をみるテストなのだ。「お友だちをいちば ん好きな遊び場所(お絵かきコーナー、つみきコーナー、等々)につれていってあげてね」と先 生が指示すると、ジュディはクラスの全員を正確な場所に並べることができる。「いちばん仲良しのお友だちどうしをペアにしてあげてね」と言われると、ジュディはこれもまた完璧に組み合 わせてしまう。

ジュディの頭の中にはクラスの完璧な社会的地図があるらしい。四歳の子供としては例外的な 知覚能力だ。これだけの能力があれば、ジュディは大きくなってから「対人技術」が必要な分野 (セールスでも経営でも外交でも)でスターになれる可能性大だ。(『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.64)

EQの別名「仲間を増やすチカラ」

大人でも、同じだろう・・・会社、組織、すでにみんな「自分勝手に遊んでいる」中に、入れてもらうのだ。

皆に好かれる子供はグループにはいって いく前に遊びをよく観察し、何がおこなわれているのか把握している。そして、皆がやっている 遊びを自分も受けいれることを態度で示す。グループにおける自分の身分が認められるまで、遊 びの内容を決めるなどのイニシアティヴをとらない。

トーマス・ハッチが非常に高いレベルの対人知性を持っていると折り紙をつけた四歳のロジャ ーにふたたび注目してみよう。ロジャーがグループにはいろうとするときは、まずグループの様 子を観察し、次に他の子がやっていることを真似してみて、最後にその子に話しかけて遊びに入 れてもらう――この作戦なら、うまくいって当然だ。ロジャーの対人知性の優秀さは、ウォーレ ンという子供とふたりで靴下に「爆弾」(実際には小石)を詰め込んで投下する遊びをしている。 様子を見てもよくわかる。

ウォーレンがロジャーに「ヘリコプターになる? それとも、飛行 機?」と尋ねた。すると、ロジャーは自分の意見を表明する前に「きみはヘリコプター?」と尋 ねたのだ。 一見どうということもない場面だが、ここには相手の関心に対する感受性と、そこから得た情 報にもとづいて相手との関係を維持できるよう行動しようとする知性が表われている。

ロジャー の行動について、ハッチがコメントしている。「ロジャーは遊び相手との関係や遊びそのものが 続いていくように、相手の意向をチェックしたのです。一緒に遊んでいても、それぞれ勝手に自 分の好きなヘリコプターや飛行機になって、それこそおたがい別々に『飛び立って』いってしま う子が多いんですがね」。(『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.193)

EQの別名「気持ちを切り替える知性」

気分はどうしようもない、ものではない!ということを学ぶ。これは、使える・・・

あるとき、息子はお気に入りのテレビ番組を待っていたが、見たいと思ったときに始まらないので、癇癪を起こした。ブルースはマシュマロ・テストの研究について耳にしたことがあり、子供は自分の気をそらせば、ごちそうを待てるとも聞いていたので、我が子で試してみることにした。そこで、息子をなだめ、もっと気楽に待てる方法がいろいろとあることを教えた。自分で気をそらして、ほかに面白いことを頭の中でやったり、実際にやったりするだけでいい、そのうち番組が始まるからと諭したのだ。

すると息子はお気に入りのおもちゃを手にしてテレビのそばから離れ、番組が始まるまで楽しそうに遊んだ。ブルースは、息子がこの経験で基礎をそらす戦略を学習したらしいのを見て、あまりのたやすさに驚き、また喜んだ。息子はその後も自分で気をそらして、ほかの状況でも先延ばしに前より楽に対処し続けたのだった。(『マシュマロテスト』ウォルター・ミシェル p.294)

5歳のチカラ【嘘をまぜて慰める】

幼稚園の休み時間。男の子のグループが芝生を横切って駆けていく。レジーがつまずいて転 び、膝をすりむいて泣きだした。しかし、他の子供たちは走っていってしまう。ただひとり、ロジャーだけが立ちどまった。レジーの泣き声がおさまってきたところでロジャーはかがんで自分 の膝をなで、「ぼくも、けがしちゃったよ!」と声をかけた。

多様な知性をのばす教育を研究している「プロジェクト・スペクトラム」の主催者ハワード・ ガードナーの同僚トーマス・ハッチは、対人関係にすばらしい知性を見せる幼いロジャーに注目 している。ロジャーは他の園児の気持ちを理解して仲良くなる才能に人並みはずれて恵まれてい る。レジーの不運と痛みに気づいてやったのは、ロジャーだけだった。

自分の膝をなでるくらい しかできなかったけれど、レジーを慰めようとしたのもロジャーひとりだった。この小さな行為 は、他人とラポールを結ぶ才能を示している。これは、配偶者や友人やビジネスパートナーとの 親しい人間関係を維持していくうえで欠くことのできない能力だ。(『EQ こころの知能指数』ダニエル・ゴールマン p.183)

自分も相手も尊重したい『子どものねがい・子どものなやみ』【4歳】

同時操作「〇〇しながら〇〇する」

二つのことなった操作を結びつける。
左右の手を互い違いに握ったり開いたりする。ケンケンしながら前進する。「4739」と言われて復唱させると「3」か「7」が欠落する(「47」「39」の二つを同時に記憶できない)。
「不器用さ」バランスの悪さ、一回聞いただけではわからない、記憶できない「理解の難しさ」が目立つ。
ハサミで曲線を切る。

耳位に手を当てて前進の跳躍をするうさぎ跳び。

バランスをとりながら、線の上を歩く。

「発達の最近接領域」とは、子どもの中にある子どもの願いと現実の自分の力の矛盾、子ども本人が心に抱いている現実的な矛盾を内包しているということです。(『子どものねがい・子どものなやみ』p.163)

「大小」を比べた思考・操作ができる。

「よりよい自分」のために相手を尊重する

4歳は「マシュマロテスト」ができる年齢。

ごっこあそびのチカラ!『残酷すぎる成功法則』再読でマシュマロ実験の意味を知る。

【ストレスは敵?】『マシュマロ・テストー成功する子・しない子』ウォルター・ミシェル のメモ

『マシュマロテスト』ウォルター・ ミシェル.1歳児の【社会的参照】は大人でも有効な件。情動調整のためのリラックス。励まし。

【マシュマロ実験】で「忍耐が大事!」の「忍耐」って何?

マシュマロ実験の別の解釈。家庭の言語環境。

 

そして、「心の理論」ができる年齢です。

思いやりと「心の理論」の関係

四歳に近づいてくると、子どもは遊ぶために生まれてきたのだとその姿で主張するよう に、友だちとのみたて・つもり遊びやブロック遊びなどに没頭するようになります。とく に、朝の自由遊び、給食のあとの昼寝までの時間、そして降園まえの時間などは、自由を謳歌し、遊びの花を部屋のいたるところで咲かせていることでしょう。そして、そろそろ「お迎え」の時間となります。ところが、しごとに疲れたおかあさん、おとうさんが保育所に帰ってきたときに、子どもは今の遊びをそう簡単にしめくくるわけにはいきません。「いや、かえらないの!」と 自分の結論を言うのです。

家庭生活の段取りがあるおかあさん、おとうさんは、この「いや」を聞くと、「いつまで、わからないことを言うのか」と急に気持ちがイライラしはじ めます。ついつい、「すぐ帰りのしたくをしないと、今夜のカレーライスの約束はやめる」 などと説得にかかるのです。しかし、そのことばを聞くと、今度は子どもがイライラしは じめます。相手の心への過敏性が生まれているゆえに、自分が尊重されていないことへの いらだちを覚えるようになってきているのです。それは、裏を返せば自分が成長している こと、おかあさんやおとうさんを尊重できる年齢になっていることを実感しはじめている からでしょう。しかし、その実感ほどには、おとなは自分のことを尊重してくれないのです。

こんなにすばらしい発達のときなのだということを、保護者の方に感じていただくことも、保育者のたいせつなしごとでしょう。おかあさん、おとうさんからの信頼を感じたと きに子どもは、それを心のよりどころにして、自分の要求をふところにしまうことができ るのです。だから、「おかあさん、そのブロックつくるの全部見ててあげたいけど、カレ ーライスのお買い物して帰らなくちゃならないの。でも、その飛行機の翼つくるの待ってるね。そうしたら、いっしょにお買い物にいこうね」と、少し子どもを尊重してあげてほしいのです。この尊重は、おとなの願いを受け入れる力をもちはじめているはずだという、わが子への信頼を包みこんでいなくてはなりません。自らの選択によって、おとなを受け入れることができた実感があれば、子どもはいっそう自分の成長を感じることができるで しょう。「いやだけれども、がんばってみる」という自制心は、このような一こま一こまの積み重ねによって、子どものなかにつくられていくのです。それは、「悪い自分ではない、より良い自分を選び取りたい心」といってもよいでしょう。つまり対比的な認識が獲得され はじめると、このような葛藤を自らつくり、そして解決していきます。わざとおとなを困 らせたり、甘えたりするのは、それ自体が子どもの願いではなく、より良い自分を選び取 るための心の跳躍台なのでしょう。(白石正久『子どものねがい・子どものなやみ』p.166)

「よりよい自分」のために、自制心を鍛える

もちろん、自分を尊重してくれる「ひと」がいるからこそ、がんばれるのです。

三歳の後半にさしかかっている子どものはにかみは、もうこれまでのものと同じではありません。それは、ちょっとむずかしいことにも挑戦しようとする姿と同じに、はにかみのなかに、何か新しい前向きな意思を感じ取ることができるはずです。それ は、「ずっと恥ずかしがっていちゃだめだ。どうしたら元気にごあいさつすることができ るだろう」と心のなかで反芻している姿なのです。「恥ずかしいけれど、ちゃんとお話しなくちゃ」と自らを励ましている自制心の芽生えを感じさせる姿です。けっして急いではいけません。子どもの心の動きがからだのどこかにあらわれているはずです。それは、しだいに相手を力強く見つめてくれるまなざしであったり、くわえた指がしだいに口から離れるきざしであったり、さまざまでしょう。その表情は、明らかに新しい人間関係を結んでいこうとする前向きな葛藤の波動に、揺れているのです。その葛藤を待つ「間」、つま りおとなの余裕がたいせつです

その前向きな心を感じ取ることができたなら、相手を受け入れる助走がはじまっているのです。最後の飛躍を助けるために、たとえばその子の一番得意なことを演じてもらいましょう。「じゃあ、大好きなウルトラマンしてくれる」などと。自分の世界が関心をもって受けとめられると、相手への信頼と相手を受け入れる心があらわれだすのです

三歳児健診は、このような自制心の芽生えを粘り強く待ち、そして導く構えをもって臨まないと、発達の評価は、かたちだけの問診で終わってしまい、たいせつな援助の機会を失うことにもなりかねません。つけ加えるなら、すでに述べてきた、二~三歳の発達特徴である「大きい―小さい」などの対比的なことばの理解、「一つから二つ」までの数の理解、そして積木でのトラック構成や十字の描画などは、確実に確認しておきたいことです。同時に、すでに述べたように、三歳中ごろは、四歳に向けてからだや手指の操作、そして認識においても、新しい力が芽生えてくるときです。「重い―軽い」の対比的なことばの理解、「三つ」の理解、正方形の描きはじまり、手の交互開閉のできはじまり、ケンケンのできはじまりなどの特徴も、健診では確かめておきたいものです。(白石正久『子どものねがい・子どものなやみ』p.170)

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